一般社団法人日本計算工学会 様
中島研吾 東京大学情報基盤センター教授、計算工学会理事(学会誌担当(「計算工学」編集委員長):2014-2015年度,会員担当:2016-2017年度) 渡邉浩志 エムエスシーソフトウエア株式会社、第20回、第21回計算工学講演会実行委員長(2015、2016年)、計算工学会理事(研究会担当:2016-2017年度) 一般社団法人日本計算工学会(以下、計算工学会)は1995年設立で、計算力学、計算機科学、CAE (Computer Aided Engineering) などに関心を持つ産官学の研究者、エンジニアなどで構成される学会で、会員数は個人会員1000人強、企業会員100社弱です。 計算工学会の最大の事業は年4回の学会誌「計算工学」の発行と、毎年5月末ごろに行われる計算工学講演会の開催です。設立当初から学会誌の編集をある業者に協力してもらってきました。創刊以来、編集委員会との強固なパートナーシップにより洗練された学会誌を提供してきました。また、計算工学講演会については、第16回(2011年)からそれまで冊子体だった講演会論文集を CD-ROM 化しましたが、学会誌の縁で論文集 CD-ROMの編集もあわせてお願いし、こちらも完成度の高い論文集を作成してきました。 そのような中、学会設立20周年を目前に控えた2015年6月のこと、その業者から会社の方針が変更され、学会誌編集事業から撤退するとの連絡をいただきました。われわれとしては晴天の霹靂で、約半年の限られた時間の中で次の業者を選定するという、かつて経験したことの無いプロジェクトがスタートしました。中心メンバーは、中島(学会誌担当理事・編集委員長(当時))、高原氏(広報担当理事(当時))および、渡邉(講演会実行委員長(当時))で、まずは可能性のある業者の調査からスタートし、書類などの審査、最終的なプレゼンにより、昭和情報プロセス株式会社(以下昭和情報プロセス)に学会誌、講演会にかかわる出版事業のすべてをお任せすることに決定しました。 選定のプロセスの中でわれわれが重視したのは、学会誌に関しては原稿依頼から、提出、校正原稿のやり取りと、なにかと手間のかかる原稿管理業務を WEBサイトにより合理化する原稿管理システムを構築していたことでした。実際に運用を開始して約1年経過しましたが、編集委員会だけでなく、原稿を執筆していただく著者の方々の負担も明らかに軽減したと実感しています。
また、学会誌の体裁などのクオリティを落とさないことも重要なテーマでした。この点についても、紙面の基本的なレイアウトのみならず、印刷品質、紙質までも完全に同等だったため、編集協力業者が変更されたことに気がつかなかった会員も多いのではないかと思います。実際、以前に学会誌の編集委員長を担当したことがある元会長の先生でさえ気がつかなかったほどの出来栄えでした。 講演会についても大きな進歩がありました。講演会論文集の編集作業は、講演会参加者の論文提出から CD-ROM の発行まで正味2ヶ月弱の厳しいスケジュールの中で校正作業を行っていきますが、こちらも WEB を利用した校正システムが確立され、効率よく作業を進めることができました。また、包括的に業務をお願いした恩恵で、講演会プログラムや広告などが掲載された公式パンフレットを発行することも可能になりました。この編集はさらにスケジュールが厳しく入稿から発行まで1ヶ月弱の短期間しかありませんが、編集担当者の迅速かつ丁寧な対応により、フルカラー36ページの立派なパンフレットが完成しました。講演会参加者だけでなく、スポンサー企業様にも大変好評でした。また、講演会では優れたCGにグラフィクスアワードを贈っていますが、この候補にノミネートされた作品がパンフレットの表紙を美しく飾ることも恒例になりました。 前述のように設立から20年の長きにわたって協力してもらってきた業者から撤退のご連絡をいただいたときは、関係者全員そろって頭を抱えましたが、昭和情報プロセスに交代してすぐに安定した編集作業が実現できていることが実感できます。これからちょうど次回の講演会論文集CD-ROMの編集作業に入りますが、昨年度の担当者が継続して担当していただけるとのことで、ノウハウの蓄積により更なる合理化が期待されるところです。
最後になりましたが、学会の事務局長から担当営業の方の対応が以前の業者に比べて非常に丁寧であるとのコメントをもらいました。編集業務とは直接の関係はありませんが、スムーズな学会運営には欠かせない重要なポイントですし、なにより、昭和情報プロセスの社風を端的に表しているものと感じました。今後も緊密なパートナーシップを構築していけるものと確信しております。
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